この記事では、特定小型原付の定義から電動キックボードとモペット型の違い、免許やルール、選び方まで初心者向けにわかりやすく解説します。

結論:特定小型原動機付自転車(以下、特定小型原付)は、16歳以上なら運転免許不要で公道(原則:車道/自転車道)を最高20km/hで走行できる新しい区分です。歩道は原則通行不可ですが、特例特定小型原付に切り替えて6km/h以下+最高速度表示灯の点滅などの条件を満たし、該当標識がある場所に限って通行できます。ナンバー取得・自賠責保険加入は必須、ヘルメットは努力義務(着用推奨)です。

はじめに:こういう人に向いています

要点:「最短・ラクに近距離移動したい」「免許のハードルを下げたい」「維持費を抑えたい」人に向く乗り物です。いっぽうで、幹線道路の長距離・高速移動には向きません。

1. 法区分とスペックまとめ

特定小型原付は、概ね次の要件を満たす車両です(概要)。

項目要件(概略)補足
車体寸法長さ190cm以下・幅60cm以下自転車道での通行や取り回しを考慮したサイズ感。
動力・速度電動機0.6kW以下/構造上20km/h超不可走行中に最高速度設定を変更できない構造。
機構AT機構・最高速度表示灯表示灯は一般に緑色灯。特例時は点滅させる。
注意:構造上20km/hを超える仕様、速度切替が走行中に自由にできる仕様、保安部品が不足している車両は「特定小型原付」ではありません。別区分(一般原付等)として扱われ、免許や義務装備が変わります。

2. 免許・年齢・ヘルメット

  • 免許:16歳以上なら不要(対象要件に適合する車両のみ)。
  • 年齢:16歳未満は運転禁止。譲渡・貸与などの提供も禁止。
  • ヘルメット:努力義務。安全面から着用推奨
  • 同乗:二人乗り不可。荷物は体幹とハンドル操作を妨げない範囲で。

3. 走れる場所:車道・自転車道・歩道(特例)

原則は車道の左側端通行。自転車道の通行は可。右側通行は不可です。交差点の右折は安全を最優先して小回り右折(自転車の動きに準じるイメージ)を基本に、標識や信号に従います。

補足:歩道は特例特定小型原付に切替し、6km/hモード+最高速度表示灯の点滅該当標識のある場所でのみ可。歩行者最優先・徐行・必要時は一時停止が前提です。

4. 必須装備をチェック

必須となる保安部品(例):前照灯、尾灯、制動灯、方向指示器、警音器、前後ブレーキ、反射器、最高速度表示灯など。

  • 表示灯:通常時は点灯、特例時は点滅。夜間は視認性に注意。
  • ブレーキ:前後の効きと引きしろを確認。異音・片効きに注意。
  • タイヤ:空気圧・摩耗・亀裂。濡れた白線や側溝上での制動距離に留意。
装備確認ポイント頻度
最高速度表示灯点灯・点滅の切替正常/破損なし毎走行前
方向指示器左右同調・点滅速度・点灯切れ毎走行前
前後ブレーキ効き・鳴き・ケーブル張り毎走行前

5. 登録・保険:最初の3ステップ

手順:
1) 市区町村でナンバー取得(販売証明書・本人確認・印鑑等)
2) 自賠責保険に加入(年数は用途に合わせて)
3) 保険ステッカー貼付・装備点検

軽自動車税(種別割)の対象です。金額や手続きは自治体差があるため、住民票所在地の案内を確認してください。

6. 電動キックボードとモペット型の違い

比較項目電動キックボード(特定小型原付)モペット型(ペダル付き電動バイク等)
法区分特定小型原付(要件適合時)一般原付等(バイク扱い)
免許不要(16歳以上)必要(原付/二輪免許)
速度20km/hまで車両性能に依存(法定速度遵守)
走行場所車道/自転車道、歩道は特例条件下のみ車道。歩道不可
装備表示灯・灯火類・指示器等ミラー等を含む保安基準一式
注意:ペダルが付いていても、基準を超える出力・速度・構造なら自転車扱いにはなりません。一般原付等として扱われ、免許・ヘルメット・ナンバー等が必要です。

7. メリット/デメリットと向いている人

観点特定小型原付(電動キックボード)モペット型(一般原付等)
手軽さ免許不要・軽量・保管しやすい手続きや装備が増える
スピード/距離近距離・街乗り向き郊外・幹線道路も余裕
維持費比較的安いやや高め(任意保険・消耗品等)

8. よくある違反・つまずきポイント

  • ナンバー未取得で公道走行(違法)。
  • 自賠責未加入(違法)。
  • 歩道を常時走行できると誤解(特例条件外は不可)。
  • 右側通行/二人乗り/表示灯不作動 のまま走行。

9. 購入前チェックリスト

  • 要件に適合する型式・仕様か(販売証明書の記載も確認)。
  • 最高速度表示灯の装備・点滅機能の有無。
  • ブレーキ、灯火、指示器など保安部品の性能。
  • 充電方式・防水等級・保証・点検体制。

10. メンテナンスとバッテリー寿命

要点:空気圧管理、ブレーキ調整、端子の防水、バッテリーの適温保管(極端な高温・低温を避ける)で寿命が伸びやすく、停止距離・視認性も向上します。

11. ランニングコストの目安

費用項目目安備考
自賠責保険年数により変動加入必須。期間をまとめると割安になる場合あり。
軽自動車税(年額)自治体により異なる最新の金額は居住地の案内で確認。
電気代・消耗品使用状況に依存タイヤ・ブレーキパッド等を含む。

12. FAQ(よくある質問)

Q1:16歳未満でも保護者同伴なら運転できますか?
A:できません。16歳未満の運転は禁止です。

Q2:歩道はいつでも走れますか?
A:いいえ。特例モード+6km/h+表示灯点滅+該当標識がある場所のみです。歩行者優先が大原則です。

Q3:自転車道は走れますか?
A:走れます。標識や車線表示に従い、速度は控えめに。

Q4:二人乗りは可能?
A:できません。積載物も操作の妨げにならないように。

Q5:ナンバー無しで試し乗りは?
A:公道は不可。私有地内のみ可です。

Q6:任意保険は必要ですか?
A:法的義務は自賠責までですが、物損・自分のケガ補償のため任意保険の検討をおすすめします。

Q7:最高速度表示灯が壊れたら?
A:公道走行は避け、速やかに修理・交換してください。特例条件も満たせなくなります。

Q8:雨の日は走っていい?
A:可能ですが、制動距離が伸び、路面状況も悪化します。速度を落とし、路面の白線・マンホール上での制動は避けましょう。

Q9:速度20km/hを超えるモデルを買ったら?
A:特定小型原付ではなく別区分(一般原付等)になり、免許・装備・ルールが変わります。

Q10:レンタル利用のときの注意は?
A:開始前にブレーキ・灯火・表示灯・タイヤを短時間で点検。アプリの交通ルール説明も必ず確認しましょう。

13. まとめ

  • 特定小型原付は16歳以上・免許不要・20km/hまで。ナンバー・自賠責は必須。
  • 原則:車道/自転車道。歩道は特例時のみ(6km/h+表示灯点滅+該当標識)。
  • モペット型は別区分(一般原付等)。免許・装備・ルールが異なる。
  • 装備点検とヘルメット着用で安全性を高めましょう。

※最新の運用・手続きは、お住まいの自治体・警察・保険会社などの公式案内で必ずご確認ください。